はじめに：平面駆動イヤホンの新たなベンチマーク
近年、オーディオ業界で急速に存在感を高めている技術の一つが「平面磁界駆動型（プラナーマグネティック）ドライバー」です。このドライバーを搭載した製品は、その高い解像度とスピード感から多くのオーディオファンを魅了してきました。
そして今回、その名機S12のポテンシャルを極限まで引き上げた、新たなフラッグシップモデル「LETSHUOER S12 Ultra」（以下、S12 Ultra）が登場しました。単なるマイナーチェンジに留まらない、音響設計を経て生まれたこの「Ultra」モデルは、まさに平面駆動IEMの新たなベンチマークを打ち立てるものと言えます。
本記事では、このS12 Ultraが、先代S12からどのように進化し、どのような音響体験を私たちにもたらすのかを、詳細なレビューと公式情報に基づいて徹底的に解説します。この記事を読み終える頃には、あなたのオーディオライフにこの極上の進化を迎え入れたくなっているはずです。
I. S12 Ultraの核心：平面駆動ドライバー技術の「深化」
S12 Ultraの魅力は、その心臓部である平面駆動ドライバーの徹底的な最適化にあります。
1. 14.8mm大型平面磁界駆動ドライバーのポテンシャル
S12 Ultraは、先代S12と同様に14.8mm径の大型平面磁界駆動ドライバーを搭載しています。平面駆動ドライバーの特徴は、従来のダイナミック型やバランスド・アーマチュア型とは異なり、薄く軽量な振動板（ダイヤフラム）全体を、均一な磁場の中で駆動させる点にあります。
- 高速応答性: 振動板が非常に軽いため、信号に対する応答速度が速く、音の立ち上がりと収束が極めて迅速です。これにより、ディテール豊かでスピード感のあるサウンドが実現します。
- 低歪み: 振動板の全体を均一に駆動するため、分割振動が少なく、特に大音量時や低域での歪みが非常に少ないクリアな音を再生します。
2. S12 Ultra独自の音響構造の採用
「Ultra」の名を冠するS12 Ultraは、この高性能ドライバーのポテンシャルを最大限に引き出すため、S12にはなかった独自の音響設計が施されています。
- 新開発の音響チャンバー: ドライバーと耳道をつなぐ音響チャンバーの構造がS12から見直されました。この調整により、特に高域の伸びやかさや空気感が増し、より自然で開放的なサウンドステージの実現に貢献しています。
- アコースティックダンパーの最適化: 内部のアコースティックダンパーやフィルターの素材・配置が再検討されています。これは、特定の周波数帯域におけるピークやディップを抑え、全帯域にわたってスムーズで聴き疲れしにくいフラットな特性を実現するための重要な調整です。公式情報によれば、このチューニングの変更は、S12にあった高域のピーキーさを抑え、より音楽的で自然なサウンドバランスをもたらしています。
この「深化」こそが、S12 Ultraを単なる高解像度機ではなく、音楽の深みまで描き出す表現力豊かなIEMへと昇華させているのです。
デザインと装着感：所有欲を満たすビルドクオリティ
オーディオ製品において、音質と同じくらい重要なのが、デザインと装着感です。S12 Ultraは、その点においても高い満足度を提供します。
1. 精密なCNC切削による筐体デザイン
S12 Ultraの筐体は、航空宇宙グレードのアルミニウム合金を、高精度なCNC切削加工によって成形されています。
- 耐久性と高級感: アルミニウム合金は、軽量でありながら高い剛性を誇り、不要な共振を抑制し音質に貢献すると同時に、高級感のあるマットな質感と優れた耐久性を実現しています。
- 人間工学に基づいた形状: 筐体の形状は、多くのユーザーの耳型データを基に設計されており、耳介に自然にフィットする人間工学に基づいたデザインを採用しています。これにより、長時間のリスニングでも疲れにくい、快適な装着感を提供します。カラーリングもS12のシルバーとは異なり、特別感のあるシックなカラーが採用されています。
2. 付属ケーブルのアップグレード
S12 Ultraは、付属品にも一切の妥協がありません。特に注目すべきは、付属のケーブルです。
- 高純度単結晶銅ケーブル: ケーブルには、電気抵抗が極めて低く、信号伝送に優れる高純度単結晶銅ケーブルが採用されています。これにより、ドライバーから再生される微細なディテールを損なうことなく、正確に耳に届けることができます。
- 交換可能なプラグシステム: S12 Ultraの付属ケーブルは、2.5mmバランス、3.5mmアンバランス、4.4mmバランスの3種類のプラグに簡単に交換できるモジュラー式を採用しています。これにより、所有するDAP（デジタルオーディオプレーヤー）やポータブルアンプに合わせて、すぐに最適なバランス接続を楽しむことができます。これは、S12では別売だったアダプターが必要だった点を改善した、大きな利便性の向上点です。
S12 Ultraが描き出すサウンド：圧倒的な解像度と深み
いよいよS12 Ultraの核となる「音」について詳しく掘り下げます。S12 Ultraのサウンドは、圧倒的な解像度と、平面駆動の弱点とされる低域の深みを両立させた、まさに「Ultra」な体験です。
1. 全帯域にわたる「ウルトラ」な解像度とスピード
S12 Ultraを耳にしてまず驚かされるのは、その極めて高い解像度です。
- クリアで繊細な高域: 平面駆動ドライバーならではの、粒立ちが細かく、どこまでも伸びる高域が特徴です。シンバルの残響やヴァイオリンの倍音など、繊細なニュアンスを鮮明に描き出します。S12で指摘されることのあった「やや刺さる」高域のピークは抑えられ、より滑らかで自然な響きを獲得しており、長時間のリスニングでも快適です。
- 迅速で正確な中域: ボーカルやギターなどの基幹となる中域は、非常にクリアで分離感に優れています。音像の定位が正確で、複数の楽器が複雑に絡み合うパートでも、一つ一つの音をしっかりと聴き分けることができます。ボーカルは一歩前に出てくるような立体感を持ち、情感豊かに表現されます。
2. 平面駆動の常識を覆す、深くパワフルな低域
S12 Ultraの最大の進化点の一つが、低域の表現力です。従来の平面駆動IEMは、その構造上、タイトで高速な低域は得意とするものの、ダイナミック型のような「量感」や「深み」に欠ける傾向がありました。
- 豊かなサブベース: S12 Ultraは、チューニングの最適化により、タイトなレスポンスはそのままに、深く沈み込むようなサブベース（超低域）の量感と質を向上させています。キックドラムの「ドスン」という重さや、ベースラインのグルーヴ感が、より豊かに感じられます。
- 質感の描写: 低域のスピード感は維持されているため、ボワついたり、他の帯域をマスクしたりすることはありません。むしろ、ウッドベースの弦の振動や、電子音のレイヤーなど、低域の質感やディテールがより正確に描き分けられています。
3. 自然で広大なサウンドステージ
S12 Ultraが実現する音場（サウンドステージ）は、自然で広大です。
- 優れたセパレーション: 各楽器の分離（セパレーション）が優れているため、音場全体が混濁することなく、左右への広がりだけでなく、奥行きと高さも感じられる立体的な音響空間を構築します。
- 空間の空気感: 緻密な高域の表現力と最適化された音響設計により、コンサートホールの残響や、録音スタジオの空間の「空気感」までもがリアルに伝わり、リスナーを音楽の世界へと深く引き込みます。
結論：S12 Ultraがもたらす価値と、あなたへのおすすめポイント
LETSHUOER S12 Ultraは、先代S12の持つ「高解像度」という強みを最大限に引き上げつつ、平面駆動型の弱点とされてきた部分を克服した、極めて完成度の高いIEMです。
1. S12 Ultraを選ぶべき理由（ターゲットユーザー）
S12 Ultraは、以下のようなオーディオファンに特におすすめできる逸品です。
- 平面駆動サウンドの「究極」を求める方: S12のクリアなサウンドをさらに洗練させ、より音楽的で自然なバランスを求めるオーディオファンにとって、S12 Ultraは現時点での一つの「究極解」となり得ます。
- 高い解像度と自然な低音を両立したい方: 緻密なディテール描写能力と、深く質の高い低域表現を両立させているため、ロック、ポップスからクラシック、EDMまで、ジャンルを問わず高いレベルで音楽を楽しめます。
- 利便性を重視する方: モジュラー式プラグを備えた高品位ケーブルが標準で付属しているため、追加のアクセサリーを購入することなく、バランス接続をすぐに試せる高い利便性も魅力です。
2. S12 Ultraのスペック概略
| 特徴 | 詳細 |
| ドライバー | 14.8mm 大型平面磁界駆動（プラナーマグネティック） |
| 筐体素材 | 高精度 CNC 切削アルミニウム合金 |
| ケーブル | 高純度単結晶銅ケーブル (モジュラープラグ式) |
| プラグ | 2.5mm / 3.5mm / 4.4mm (交換可能) |
| 接続端子 | 2-Pin (0.78mm) |
3. 極上のリスニング体験をあなたの手に
LETSHUOER S12 Ultraは、その洗練されたチューニングとアップグレードされた構造により、単なる「高性能」なイヤホンではなく、「リスニングを心から楽しむ」ための優れたツールへと進化を遂げました。
あなたがもし、今のIEMに物足りなさを感じているなら、S12 Ultraが提供する圧倒的な解像度、深みのある低音、そして自然な音場感は、あなたの音楽体験を別次元へと引き上げてくれるでしょう。
この極上の平面駆動サウンドを、ぜひあなた自身の耳で体験してください。
【総評：購入を強く推奨する理由】
LETSHUOER S12 Ultraは、価格帯を大きく超えた極めて高い音響性能を持っています。特に、チューニングが改善されたことによる高域の自然さと、平面駆動型の弱点を克服した豊かな低域の表現力は、多くのオーディオファンにとって決定的な購入動機となるでしょう。
極上のビルドクオリティと利便性の高いモジュラーケーブルも相まって、S12 Ultraは、あなたのオーディオシステムにおける**「手放せない一本」**となるはずです。
まとめ：新たな平面駆動の歴史はここから始まる
LETSHUOER S12 Ultraは、14.8mm平面磁界駆動ドライバーの持つ高速なレスポンスと高い解像度という核をさらに磨き上げ、新しい音響チャンバーとチューニングによってより深く豊かな低域と自然で聴きやすい高域を獲得した、極上の進化を遂げたIEMです。
美しく高精度なアルミニウム合金筐体と、3種類の接続に対応するモジュラー式高純度ケーブルという贅沢な仕様も相まって、所有する喜び、そして音楽を聴く喜びを最大限に高めてくれます。
S12 Ultraは、単なる「高性能」イヤホンではなく、あなたの音楽コレクションに新たな命を吹き込み、「音楽を聴く」という行為そのものをより豊かな体験へと変えるポテンシャルを秘めています。
画像の引用元：https://knicom.co.jp/product/s12-ultra/
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